指先とハンドクリーム

食べたり読んだり日記を書いたり

日記:1月15日〜20日

1月15日(月)

8時起床。ぐっすり寝た。先に起きて仕事に向かっていたTさんが「仕事今日無いみたい。カフェ行く?」と言ってきたので喜んでうなづく。家事は全部後回しにして出かけた。

昨日届いたヘッドフォンを早速持ってきたけれど、月曜、朝のカフェは人が少なくてすごく静かだった。Tさんとカフェに来ても私は大体日記を書いたりしているけれど、一緒に来るのが久しぶりなので最初はなんだか緊張した。あちらはいつも通りの様子。

いい時間になったのでお昼を食べにアジア料理のお店へ。Tさんはグリーンカレー、私は台湾ビーフン。追加100円で辛い辣油をつけられるのでお願いした。別添えの器にみじん切りした唐辛子や種がこんもり入っていて、辣油のイメージとは少し違う感じで出てきた。少しづつ混ぜて調節できるのでありがたい。ほんのちょっとだけ乗せてその辺を混ぜて食べても十分辛くて、頭にじわっと汗が出た。でもビーフンにすごく良く合う。唐辛子のフルーティーさを初めてちゃんと味わえたかもしれない。辛いものが好きなTさんは私が使わない分ばさばさ麺に混ぜて食べていた。なんならそのまま食べていた。

帰ってからトイレに篭って「お尻が痛いよぅ」と毛布にくるまるまでがセットだった。思わず笑ってしまう。私は加減したので痛くならなかった。

 

1月16日(火)

お茶を沸かす習慣は今のところまだ続いている。直火にかけられるガラスポットを使っているけれど、そもそもガラスを直火にかけたことがないので本当に割れないかまだ不安。突然パリーンびしゃー!!とかなったらどうしようと怖くて、少し離れたところから眺める。

お昼に玉ねぎとほうれん草でチーズオムレツを作ったら微妙だった。焼けすぎて卵焼きみたいなところと全然固まってないところがあった。仕方なく食べて遅番で出勤。

閉店作業後、社員さんとコーヒーを飲みながら少し話した。信頼している人から相談をされるのは、きちんと信頼関係が築けている証拠みたいでなんだか嬉しい。私の話もたくさん聞いてもらった。

帰ってから、私なんか頼りにならないけど、他に誰もいないししょうがなかっただけかもなーとしょんぼりした。謎のネガティブ。働きながら、自分は本当は全く優しくないかもしれないと思うことがある。お客さんに対してもスタッフに対しても、とても大切に思っているようで心の底ではどうでもいいと思っている。自分さえよければいいと思っている。でも、そうじゃない日も確かにある、から分からない。

年末に伊藤紺さんの歌集を買ったのは

「夏が来る たまに忘れそうになる わたしがすごくやさしいことを」

という大好きな短歌が収録されていたから。本物の優しさを持っていると信じたい。

 

1月17日(水)

遅番で帰ってきてから久しぶりに夜食を食べた。丁度お釜にご飯が残っていたし、休憩時間が早かったので仕方ないことなのだ、これは。卵かけご飯、うまい。ネギとキムチも入れた、うまい。お腹が満たされると機嫌も良くなる原理。

 

1月18日(木)

曇りの日。お昼にブロッコリーとベーコンのオイルパスタを作る。パスタはちょっと硬い方が美味しいのに、柔らかくなりすぎていて微妙だった。後で混ぜることを考慮して、袋の表記より短めにしないといけなかった。Tさんはそんなミス絶対しないのに、と悔しくなる。ブロッコリーがやたらと多い森のようなパスタを食べる。

予約していた蟹の親子さんの新刊を買いに行くべく、身支度。全部終えてからSNSで調べると、今日は本屋の定休日だった。なぜ用意する前に調べないのか…。別の本屋に行けばいいじゃない、と思い直し電車に乗る。ラインナップが変わっていて立ち読みが楽しかった。せっかく来たし何か買おうと吟味する。日記本が好きならば、いつか手をつけたいと思っていた武田百合子の『富士日記』を手に取る。ページを開いて最初に読んだところに「うんこビリビリよ」と夫に言うセリフがあった。一瞬で好きになる。しかもこの人、お昼にホットケーキを食べてる。1964年から始まる日記なので勝手に古臭くて難しいイメージを持っていたけれど、全然そんなことはなかった。購入して、そのままスタバに持ち込んで夢中で読んだ。帰ったらTさんに、この富士日記という存在を何としてでも説明したい!と電車の中で練習したのに上手く言えなかった。「上手く説明出来なかった」と伝える。

ちなみにスタバで食べたオレンジのカスタードタルトがめちゃくちゃ美味しかった。また食べる。

 

1月19日(金)

給料日。朝起きてすぐセブンに行き、ATMの前に立つ。年末年始手当やら賞与やらで立派に並んでいる残高を確認して、安心する。お店で手当が出ると聞いていても、実際に振り込まれるまではなんだか信用ならない。振り込まれるまで分かんないぞと思っている。かりんとう饅頭を二つ買って、スキップで帰宅。

遅番で出勤して帰ってくると、A先輩から結婚式の招待状が届いていた。封筒は思っていたより固くて分厚い。キムチをつまみながら目を通す。招待状と返信用のはがき、式場の案内が入っていた。参加の有無はあらかじめ連絡して確認しているのに、改めて招待状を送るって文化は二度手間だなと思った。せっかく招待状が来たのにどこか白けている自分に気がついてなんだか嫌になった。目を通してからキムチをつまめばよかった。

 

1月20日(土)

朝、起きてセブイレブンのかりんとう饅頭をガリっと食べる。カフェオレを飲む。何年か前に、このかりんとう饅頭とコーヒーを一緒に食べると美味しいと教えてくれた先輩がいた。今はどこで何をしているか誰も知らないらしいその先輩のことを思い出す。元気でやってるといいけれど。

マクドナルドの「ビックブレックファスト」というスクランブルエッグやマフィンなんかが乗っているワンプレートの商品が、販売終了するらしい。マックの中ではマイナーなメニューで私は気に留めたこともないけれど、Tさんにとっては、初めての一人暮らしの中、初めてのバイト代で買った思い出深い商品らしい。

最後の記念に食べてこようかな、とTさんが着替えている。わざわざ電車に乗って、当時住んでいたその街のその店舗で食べると言う。「思いついたことが書けるようにメモ帳とペンだけをポッケに入れていくねん」と言うのでなんと素敵なことかとフンフン鼻息を鳴らしながら見送った。大切なことをきちんと大切にしているTさん。

身支度をして、お昼はカフェでスパイスカレーを食べた。『富士日記』を読む。紅茶が有名なカフェで、ミルクティーがとびきり美味しかった。満たされる。

花屋に行き、プロポーズ(になる予定)の花束の相談をする。予算、大きさ、花の要望、カラーなど。「差し支えなければ、贈る方は女性か男性か、用途もお聞かせ頂けますか」と言われ、低予算で申し訳ないですがプロポーズで彼に渡そうと思います。とくねくね後ずさりしながら言った。それまでも感じの良かった店員さんが、パパッと笑顔になり照れ臭い。何かあればいつでも電話でも良いので連絡下さい、と控えを受け取る。良い方に作ってもらえて嬉しい。

そわそわするので商業ビルを徘徊して落ち着かせてから、いつものカフェで日記を書いて帰った。

晩ご飯はTさんと餃子作り。キャベツとニラはブレンダーを使えばあっという間にみじん切りになった。出番のない日がほとんどない。良い日だった。