指先とハンドクリーム

食べたり読んだり日記を書いたり

日記:7月5日〜9日

7月5日(水)

早番で出勤、今日は短いシフト。ぐっと集中していい動きが出来た時間があって、店長に「めっちゃ良く出来てたね」と言われてへへへとなった。今日はこのまま平和に終えて、そろそろ上がりだというときに定期的にやって来る理不尽なお客さんが来た。運悪く自分が対応にあたり今回も散々だった。出来る限り対応しても、度重なるやり直しの要求と「あっごめんごめん言い忘れてたけど」とつけ加えられる新たな要求に何度も何度も行ったり来たりし、時間をかけ、理不尽に怒られ、ブチギレそうになり怒りでほっぺたと手がぷるぷる震える。

結局数十分対応して、終わった瞬間に顔がぐしゃっとなった。ダムが決壊するみたいにどばっと涙が溢れて慌てて退勤カードをおしてトイレで泣いた。悔しい。真面目に対応して報われないのが悲しいんじゃない。店員を毎度毎度こき使って駒のように扱い、分かっててたくさん時間をかけさせる。この人の言うことがまかり通る環境が悔しくて悔しくて泣いている。

私が経営しているお店なら「もう二度と来ないで下さい、あなたはお客さんじゃないので」と言えるのに。私は雇われてる身だから勝手な発言や行動をするわけにはいかないと思っている。店長や上の人に迷惑がかかると咄嗟に考えてしまう。でも、雇われている身だからこそ守ってほしい。去年、僕のマリさんの『常識のない喫茶店』を読んでからますます理不尽なお客さんが許せなくて、絶対に許さないとずっと思っている。

目撃していた他のスタッフに「びっくりさせてごめんなさい」と謝る。店長が「上の人とあのお客さんをどうするか対応を考えているところだから。せめてもの慰めになれば」と教えてくれた。「出禁でお願いします」と3回言った。

トイレでわんわん泣いたのが良かったのか、店を出たらけろっとした。近くのチェーン店のカフェに入ってアイスラテをちゅーちゅー飲んでいたらもっと落ち着いてきたので日記を書いた。日記を書いている時間が楽しくて、熱中できたので救われた。

 

7月6日(木)

お昼前、電車に乗って母に会いに行った。車で迎えに来てくれた母は私と会えて嬉しそうだ。中学の頃からよく行っている中華料理の店へ。八宝菜とワンタン麺を食べながら今回もあれやこれや話をした。ドリンクバーがついていて、結果2時間以上お喋りした。ジャスミン茶を3回飲んだ。中華料理のあとにぴったりで美味しい。

本屋に行って、吉本ばななさんの『はーばーらいと』を買う。ネットで見たときから装丁がとてもきれいで印象的だった。きっと中身も面白いんだろうな。さっそく喫茶店に行って少し読んだ。初めからとてもきれい。雰囲気が良くて、あ、これは面白いやつだと思った。

今後の人生について母と話す。少し寂しそうな横顔をみて心がきゅっとなる。でも、こればかりは母が行動するしかないことで、人生って自由で、あまりにも自由だから困る。夏は暑すぎて疲れてしまう。

夕方ごろ実家に行って、椎茸の肉詰めをご馳走になった。昔は椎茸が嫌いだったので食べたことのないメニューだった。母の椎茸の肉詰めを初めて食べた日。ひとしきりお喋りして駅まで送ってもらう。車のブレーキランプの点滅をちゃんと見送ってから電車に乗った。

 

7月7日(金)

出勤の時間ギリギリまで『はーばーらいと』を読んでいた。先が気になってどんどん読んでしまう。おかかのおにぎりと麦茶を持って遅番で出勤。夜、欠員が出てドタバタしているとさらに欠勤の連絡がかかってきた。夏風邪が流行っているらしい。困った困った、明日も明後日も欠員が出てしまった。なんとかシフトに入れる人の時間を調整して帰る。

玄関のドアを開けると「おかえり、もう寝るところだった」とTさんが目を擦っていた。なんかイラッとしてしまい「先寝てていいよ」とだけ言って即お風呂に入った。上がると部屋の電気が消えていて、そっと寝顔を見に行く。Tさんはすーすー寝ていた。ぎゅっと手を握ると「おかえり」とだけ言ってまた寝た。疲れたとき、どうして自分だけが疲れていると思ってしまうんだろう。Tさんだってこんなに疲れているのに、と寝顔を見て思った。

Tさんがグーグー寝ているのを良いことに、お店でもらった「東京ばな奈」とカップヌードルを食べながら『はーばーらいと』をどんどん読む。面白い。人の状態を表すのがとても上手で、情景や人物がありありと思い浮かぶ。昨日買ったのに夜更かしして読み終えてしまうほどには面白かった。最後の方焦って勢いで読んでしまったので休みの日に落ち着いて読み直そう。幸せな夜更かしだった。

 

7月8日(土)

湿気が酷すぎる。洗い物は私の担当なのに、今日はTさんがやってくれていた。あんまり時計を見ないようにして、現実逃避にティアキンをした。迫り来る出勤時間。うぅ。焼いたシャケを乗っけたお弁当を持って、今日も遅番で出勤。

お店は混み、スタッフは足りず、もうまさに満身創痍だった。余裕がなくて感じが悪くなってしまった。最後まで混み続けたので閉店作業にかなり時間がかかった。体と頭が重くてへろへろで帰る。「プリンあるよ」とTさんからメッセージ。体力と気力はもう0だったけど、なんとかお風呂に入りなんとか薬を塗って髪を乾かす。この一連の作業を毎日やっている人間って本当にえらい。やっとの思いでプリンの蓋を開ける。Tさんが買ってきてくれたジャージー牛乳のプリンはとろとろのプリンで、今日はちょうどこっちが食べたかったんだ、と嬉しく食べた。固いプリンの気分の日もある。ぱたんと寝た。

 

7月9日(日)

起きたのにもう寝たい。しんどい。9時半に這うように起きる。起き上がって水分を摂らないと。桃のヨーグルトを食べてEVEを飲む。疲れと生理前の不調が重なって頭痛とめまいが辛い。私だって休んでしまいかったけど、そうなるとせっかく休みを取った店長が出てこなければならず、気が引けた。きっとお子さんはお父さんと過ごせると思って期待していただろうから、その時間を奪いたくはない。違うかもしれないけど。

あんまり食欲が無く、今日はサンドイッチとか食べたいもの買っても良いかなとTさんに聞くと「昨日も一昨日も頑張って持って行ってたもんな。何でも好きなの買い!」と言われて洗い物をしながらびーびー泣いた。生理前いつも些細なことでびーびー泣いてしまう。飯を握って持っていくだけがこんなに大変だとは、子供の頃思ってもみなかった。

薬が効いたのと、泣いたおかげでなんとか気持ちが落ち着いたので無事出勤。スタバに寄って、エビとアボカドのサラダラップとドーナツを買った。

昨日大変だったので今日もそうだろうなと思っていたら、社員さんがスタッフのみんなに「無理しないでゆっくりでいいよ、でもその分笑顔!」と声をかけてくれた。本当は私だってそういうことを口にするべき立場なのに、まんまと元気づけられてしまって、そしてみんなも笑顔で元気だった。ありえない人数だったのに楽しかった。なんてすごいんだ。私はやっぱりまだまだそのレベルには達していないなと思う。

夜にはお店も空いて、順調に閉店作業を終えて早く帰れた。ようやくほっとした気持ちで玄関を開ける。三日間よく頑張った。