指先とハンドクリーム

食べたり読んだり日記を書いたり

小さな宝石のような私のおばあちゃん

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私には大好きなおばあちゃんがいる。母方のおばあちゃんだ。おばあちゃんは背は小さいけどいつもぴっと背筋が伸びている。ふっくらとした小顔でいつもお化粧も服もキレイにしている。小さくてきれいな宝石みたいだと思う。おばあちゃんは若い頃宝石店でバリバリ働いていて、そのおかげかジュエリーがとっても似合う。お庭で草花を育てて家に飾ったり、夏は開襟ブラウスを何枚も縫って着たりする。そんなチャーミングなおばあちゃんである。

そんなおばあちゃんも今年で80歳になり、今年の夏は心身共にこたえたらしい。家事の全てをおばあちゃんが1人で取り仕切っているから無理をしたのだろう。心配だとは思いつつも何も出来ずにいたら、おばあちゃんが家に遊びに来たいというので喜んで招待した。

先日、約束の日になった。天気のいい暖かい日で朝から掃除に洗濯に忙しかった。いいタイミングなのでおばあちゃんが来る日に合わせて大掃除を全て終わらせる作戦を立てていた。コンロ周りとお風呂は終わらせていたので、玄関の掃き掃除をしたりキッチンの棚を隅々までキレイにしたりした。掃除機も丁寧に丁寧にかけ、仕上げにTさんがクイックルワイパーをかけた。どこもかしこもピッカピカの家になった。お昼頃に来てうちでご飯を食べる予定だったので、仕込んだ炊き込みご飯をスイッチオンにして、大根のお味噌汁を柔らかくなるまでしばらく煮る。メイクしてそろそろお味噌溶かすかーと思っていたら、来た。

「どうもどうもご無沙汰しております。今日はお邪魔いたします。」とTさんに満面の笑みで丁寧に挨拶している。「ゆきこちゃーん!これ、うちで採れたおみかんとね、ストロベリーツリー、あとこれはプレゼント、ブローチなんやけど」と、ドサドサっと受け取る。ビニール袋にどっさり入れられたみかんとお庭で摘んだ花束と、ガラスのブローチ。おばあちゃんらしい可愛いお土産だった。

初めて家に来たおばあちゃんは物珍しそうにウロウロして、一つ一つに感想を漏らした。家具や雑貨の好みが私とおばあちゃんは似ている。「可愛いお家!きれいに暮らしてるのね。」と何度も言われて嬉しくなる。きれいなのは大掃除が終わったばかりだからである。「お昼ご飯にするよ。座ってて。」と言ってもおばあちゃんは立ってそわそわにこにこしていた。「男の人が動いてると私も何かすることがあるんじゃないかという気持ちになって落ち着かなくって。」と言う。Tさんは私と一緒にご飯をよそったりしているだけだ。おばあちゃんはいつも家であれこれと働いているんだな、とちょっと切なくなる。

お昼ご飯は炊き込みご飯と大根と豆腐のお味噌汁とだし巻き卵とウインナー。ちょっと豪華な朝ごはんみたいなもので申し訳ないとも思ったけど、背伸びしたご馳走よりもいつものご飯風景をおばあちゃんにも感じて欲しかった。私の作ったご飯を何度も何度も「美味しい美味しい」「ゆきこちゃん、これ本当に美味しいね。」と言ってくれた。食べ始めてすぐにおばあちゃんは泣いた。「ゆきこちゃんが本当に幸せそうでおばあちゃん嬉しい。」だそうだ。おばあちゃん、私はまだ結婚しとらんよ。感極まっちゃうところも私とおばあちゃんは似ている。

食べ終わってからたくさん作っておいたお茶を何度もおかわりしてゆっくり飲み、おばあちゃんは本当に満足そうな顔をしていた。その後はうちにある画集を見たりTさんとお話ししたりして「はぁ、これでもう思い残すことはなんにもございません!今日は日記に書くことがいっぱいあるわぁ。」と嬉しそうにしていた。可愛いおばあちゃんである。最後に母も含めて4人でロイヤルホストに行ってパンケーキとパフェを食べた。「今日は来てくれてありがとね。」とおばあちゃんにランチョンマットをプレゼントすると、その柄がおばあちゃんの好みドンピシャだったようでこれまたとんでもなく喜んでいた。おばあちゃんが好きそうな柄だな〜と思って買ったけどこれほどとは。さすがは孫。

始終にこにこで嬉しそうだったおばあちゃん。ランチョンマットの後ますます「これで思い残すことはない!」と言っていたけど、私がこの先きっと結婚してそしてその後だって、いつまでも元気で見守っていてね。