11月6日(水)
なかなか生理が来ないことが気になって、ずっとピリピリしていた。電車の中で昨日見た映画のトレーラーを何度も見る。静かで落ち着く。出勤してからも、なんとか平常心でいようと気をつければ気をつけるほど気持ちがささくれていって、些細なことでイライラした。困ったなぁ。帰ってから、お腹を満たすためにうどんを煮て食べた。急に冷え込んだせいで部屋がとても寒い。
11月7日(木)
どことなく憂鬱な朝。気分転換に朝一で近所のマックへ。三角チョコパイとホットカフェオレ。日記を書く。丸椅子が小さいのかお尻が大きいのか、座りにくくてごそごそしていた。なんだか上手く書けなくて、溜息をつきながらpomeraを閉じた。
シソのおにぎりとみかんを持って遅番で出勤。シフトの人数が少ないのと、その中でこなさなければならない業務が多すぎてとうとう泣いてしまった。柱の陰でうっうっと泣いた。この歳で仕事中に泣くのってどう見えるんだろうとは思いつつも、もうこの際いいやという気持ちだった。慌てて店長に「いっぱいいっぱいにさせてごめんね」と謝られる。えっなんで泣いてんのー!?という反応だったらどうしようと思っていたのでまだ良かった。
泣いたところで勝手に仕事が終わるわけでも無く、後半おかしなメンタルだったので変なミスをしていないか確認したりしていたら遅くなって、一番最後に一人で帰った。冷たい風がぴゅーっと首筋を通って、この風は木枯らし一号らしかった。
帰ると、Tさんのお義父さんから手紙の返事が来ていた。パソコンでびっちり打ち込まれた文章が三枚もあって、何が書かれているのか(金銭的なことを咎められやしないかと)、こわごわと読んだ。
お義父さんは自分の要望を控えめに伝えながらも、婚約したことを心から喜んでくれていた。一人称が「当方」「小生」「おとうさん」の三パターン出てきて、とてもお義父さんらしい真面目でユーモアな内容だった。ただ「結納」とか「披露宴」とか、今まで自分とは関係ないと思っていた強い字面に出会ってクラクラした。私はTさんと夫婦になれればそれでいいし、婚姻届は無料で提出出来るんだし、サクッと結婚しよう、そうしよう、ヘイヘイヘーイくらいに思っていたからなぁ。Tさんはもっとクラクラしたのか先に布団に潜り込んで丸くなっていた。
Tさんが毛布を出してくれていて、潜り込むとほかほかだった。いろんなことがあったけれど毛布が気持ちよくてすぐに眠った。
11月8日(金)
休みだけど支度して朝一でお店へ。やらないといけないことを片付けるついでに、遅番のSに軽く話を聞いてもらおうと昨日のうちに連絡を入れていた。勤務より一時間ほど早く来てくれたSは「どうしたどうした?早速聞くよ」とちょこんと隣に座った。昨日の状況を事細かに説明すると、すごく怒ってくれて「元気ないと思って買ってきたよ、これあげる」と栗のクッキーもくれた。なんていい人なんだろう。話を聞いていたAさんが「今度同じようなことがあったらこうしてみたらいいんじゃない?」とアドバイスもくれて、だいぶ元気になった。
なんだかずっと日記が書けていないのが気になってカフェに寄ったけれど、カクカクの座面が痛くてすぐに店を出てしまった。生理のときはふわふわの椅子に座りたい。
早めに家に帰ってお風呂で温まる。晩ご飯の秋刀魚がきれいな色をしていたので、Tさんと二人で見た。グリルに入れる前に「びちびち」と言いながらしならせて活きの良さをアピールしていた。Tさんはいつだって愉快で、そういうなんでもない冗談にいつも救われている。大根おろしの汁を飲み干すTさんを見て、あ、母と同じだなと思った。
寒いので9時前に布団に入った。温かい布団がこんなに気持ちいいのは冬ぶりだなぁ。眠くなるまで『葬送のフリーレン』を見ていた。
11月9日(土)
いい天気。洗い物と洗濯を終わらせて、この間買った僕のマリさんの『記憶を食む』を持ってカフェへ。僕のマリさんの本は久しぶりに読むのでワクワクした。食べ物から紐解かれていく記憶に関するエッセイ。自分の気持ちもだいぶ落ち着いてきたので、ゆったり読むことが出来た。いつも良くしてくれる店員さんがせっかく話しかけてくれたのに「そうなんですね」としか返せなくて、店を出た後、そうなんですねって…もっとこう何か…あっただろう…と凹んだ。
お昼過ぎ家に戻って、残りご飯をリゾットにして食べた。具材はベーコンと玉ねぎと大根。日記本を作るための製本会社をやっと決めて会員登録した。PDFで入稿する、と書かれてあるけれど全然ピンとこない。早く取りかからないと。
夕方Tさんと散歩。歩いていると暑いらしく、上着を脱いで、その次はシャツも脱いで、最終的にタンクトップになっていた。元気いっぱいだね。黄色いイチョウが早くみたいけれど、まだまだ紅葉していなかった。
ユニクロに行って、それぞれフリースの部屋着を買った。あったかくて軽いやつ。無印良品でシリコンのしゃもじやその他もろもろも買った。もうすっかり真っ暗な道を、荷物を代わりばんこで持ちながら帰った。
11月10日(日)
朝、ふと思い立って父方のおばあちゃんに電話した。そういえば結婚することをきちんと報告していなかったし、最近の様子をうかがえればと思ってかけた。もしもし、ゆきこですと言うと「はい?誰でっか」と返ってきて焦る。「ゆきこだよー!私、ゆきこですー!」と三回くらい言ってやっと通じた。良かった。開口一番に「本当は電話したいんやけど、若い人は忙しいやろ?迷惑になるんとちゃうかおもて」と言っていた。寂しい思いをさせてしまった。でも私の話は3分で終わり、そのあと20分延々と話を聞いたからちょっと疲れた。
遅番で出勤。上がってからスマホを見ると母から連絡が来ていて、急いで電話した。そのあとおばあちゃんにも。普段電話なんて滅多にしない生活なのに今日は妙に縁があった。自分から電話したから、そういう日になったのかも。
11月11日(月)
ちょっと気温が上がって、昨夜は掛け布団が暑かった。寝ている間に蹴り飛ばされた毛布をきれいに整える。起きた後にベッドを整えることと、お茶を沸かすことはやっと習慣になった。こういう小さな習慣の一つ一つが豊かな生活を作っていく。
リビングの一番日当たりの良い場所に一人がけのソファを置く予定で、しばらくその場所を見つめて想像したりした。もう少し家の中を片付けないといけないな。
遅番で出勤。駅中のパン屋でサンドイッチと塩バターパン、おやつにチョコチップマフィンを買った。社員さんと一緒だったので業務が終わらないことはなかったけれど、日中の忙しい時間はやっぱり大変だった。ここで無理に張り切るとろくなことにならないので、笑顔をちょっと控えめにしておいた。
休憩時間に楽しみにしていたパンを食べる。チョコチップマフィンは160円とお手頃だったのにちゃぁんと美味しい。ふんわりバターの香りに癒やされた。
数本早い電車で帰れた。みかんと、お土産にもらった韓国のお菓子を食べて眠った。